堀江は真剣に政治家を目指している

法の抜け穴を知るものこそが、最も法律を熟知するものである。生きる扉を率いる堀江は、ヌッポン包装買収スキームによってそのことを天下に知らしめたはずだが、マスコミ諸兄は得意の健忘を持ってその事実を忘れつつある。
断言してよいが堀江はヌッポン包装(フジ)買収が失敗に終わった直後からかなり真剣に政界進出を考えていたのではないか。その理由は彼のここ一年の行動を思い返してみればはっきりする。彼がこの一年で失敗した代表的なものをあげてみよう。
1.近鉄球団買収。
2.高崎や笠松など地方競馬救済。
3.ヌッポン包装買収。「放送」への関心。
このうち2.と3.は、失敗の原因が法律問題であったことにすぐ気づくはずだ。2.では地方競馬の馬券販売は主催場の権限であり、たとえ生きる扉がこれらの地方競馬場を救済したとしても、「法律によって」馬券販売は主催場の委託の形をとらざるを得ないし、また生きる扉が主導する形での地方競馬再編も困難だ。
3.では、そもそも電波割当の許認可権は総務省の管轄事項であるというところに端を発し、電波割当に伴う新規参入が困難である以上、既存のメディアを買収せざるを得ない状況になったというところに問題の本質がある。
政治家となった堀江は、21世紀の田中角栄になる可能性が高い。新規参入を阻害する諸々の法律を改正し、生きる扉はじめとする新興金満企業のビジネスチャンスを広げることを第一義に考えるのではないか。それは恐らく、華々しいM&A戦略の中で彼が一敗地にまみれた数少ない経験から学んだ、新たな業績拡大への近道である。「規制緩和」の美名のもとに参入障壁を撤廃することで自らの利権を拡大する。これは新たな族議員の誕生へとつながるはずだ。
旧来の族議員は、グループ企業や地元、票田に独占的な利権を与える形を整備し、それを堅持することで権力地盤としてきた。堀江は一見解放的な形で利権を拡大するだろうが、それは自らの率いる企業にとって好ましい形での自由化、規制撤廃となるだろう。
そのことの善し悪しは非常に困難な問題を孕んでいるので、私には正直言ってよくわからない。ただ、我々はその野望に気づく必要はあるだろう。