ここを暗いニュースブログにしてやるぞ

毎日新聞の「縦並び社会」
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/tatenarabi/
がとにかく暗い。しかし、的確だ。毎日新聞がやれ株高だなんだと浮かれず、見えにくいものへの視線を大事にしていることは誇るべきことではないか。
このブログでは以前、もう消してしまってエントリとしては存在しないが、「正社員」と「非社員」について執拗に書いたことがある。社員を非社員化することで、労働力という一個のエネルギーに還元、抽出することで利益の源泉とする企業の戦略を、そしてその徒花として咲く人材派遣業をどう判断すれば良いのか。自分の会社が買われるという際に反対の声を上げることのできるカネボウ化粧品新日本無線ニッポン放送の社員、労組はまだ幸せなのだろうか。群れることさえできぬまま孤立し各個撃破されていく労働力としかみなされない人の声が聞きたい。もっと。
フリーターにとって「自由」とは何か
医療の問題はますます深刻だ。国民皆保険の美徳は根底からちゃぶ台返しされ、既に時の首相は心にもなく発していた「痛みに耐えて」の言葉を吐くことすらなくなった。元日の百貨店に高級品を求めて群がる人々(どうやら売り上げは過去最高になったようだ)を、まるで世界の反対側から聞こえてくる声のように遠くのものとしてテレビで眺める同じ日本人。すでにそこには、断絶が厳然とある。好況にわく名古屋の郊外で、大手自動車メーカの孫請けひ孫請け夜叉孫請けが、じわじわと赤字を垂れ流しその日を数える暇もなく働く。

政府が言っているのはおそらくこういうことだ。予防薬がある。全員に分け隔てなく予防薬を与えた場合、もしかしたら全員が死ぬかもしれない。しかし、一部の人間を犠牲にして他の健常者が予防薬を飲めば、その健常者は助かる。一人でも多くの人を助けたい。そのために一部は死んでも構わない。どうする。
もちろん政府は死んでも構わない、などとは言わない。しかし実際死んでいる。ばたばたと。何万人も。一部の人の回復をことさら美談として取り上げる裏で、人が、ばたばたと。

何もかもが腐りきってしまった。ジャーナリストである人々の堕落によってもたらされるであろう一つの悲劇のシナリオ。スクランブル化されたNHKを見られない人々は大地震などの未曾有の危機の時、情報ディバイドという言葉の本当の意味を知る。セーフティネットは既に撤去されてしまったのだろうか。

縦並びはだるまおとしを否応なく連想させる。今日の中流が明日の下流でない保証はどこにもなく、一段一段と巨大な槌が人々を吹き飛ばす。だからもう一度敢えて言う。2006年は暗い年になる。