森敦雑感

森敦―月に還った人』なる本を下北沢の店主やる気ない本屋でゲットそして先般読了。
組曲 月山」という成り行きこそ正義みたいなレコードを出し自分も芥川賞とっちゃうなど多芸な電通マン作家が森敦との交流を描いている。以前、
森敦との対話を読んだが、もう一面から見た森敦論ということでそれなりに貴重。かつ面白かった。小島ー森対談集に入る前の準備運動だ。

森敦の作品は構造的であると、著者の新井氏は繰り返し主張する。ズームとパンという映像的構成と仏教的世界構造、簡単にまとめてしまうにはやや躊躇があるが、森氏の作品にはそのような要素を融合させた構造があるという。生死を司る月山と鳥海山の対比、会社勤めと放浪の日々。森敦の生涯のそこかしこに、彼なりの美学と見識に基づいた構造があるとも。