でははじめよう。

ウルトラ・ダラー
いわゆるページターナー北朝鮮製ドル紙幣をめぐるインテリジェンスの攻防、とかいう要約ではさっぱり面白さが伝わらないが、一読して損をすることはない。
筋立ては巧みだし、マイクロICチップを巡るやりとりは、半導体フラッシュメモリーを巡るかの国との仁義なき技術戦争を想起させ、うならせる。
ちょうど日本放送協会がそんなのでNスペでやってたが、そんな現実との距離感が絶妙で、そこがハーフフィクションとしてのこの本の洛陽の紙価を高めている。
拉致、偽ドル、日朝外交、闇市場。各輝く星の配置でなす星座のようでもある。手嶋氏のオフィシャルサイトのStephen's Clubもなかなか面白い。
他の人がさんざん言うようなディテールの妙というものは私にはほとんど感じられなかった。
無理してる感のほうが強い。ドルガバとかいわれても失笑ものである。
あと、男女の仲についての描写もわざわざアマゾンレビュー的なことを繰り返しはしないが、微妙である。

しかし、疲れている私にはこんなオチのほうが望ましい。
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_04/t2006041706.html